人と人の間に生じる感情と関係を、凍らして目の前に呈示するような
村上龍の作品に出て来そうな、暴力と性に溢れた表現
大江健三郎の作品で描かれていそうな、人類や生物の新しいカテゴライズ
そして、ペルソナなど、「分人主義」を提唱する平野啓一郎を想起するような、「懐か新しい」小説。そう、『コンビニ人間』の村田沙耶香による、『世界99』です。
「ウエガイコク」、「シタガイコク」など、フィクションとは言え、メディアでも、日常生活でも口にするのが憚られるような表現も随所に散見。ただ、現実社会と大きく乖離しているかというと、、う〜ん、良し悪しはともかく切り口としては正確な部分も大きいのでは?と思ってしまいます。
印象に残ったフレーズとしては、次のようなもの。個人的な印象として、この本の世界観は、暴力的な破壊と破滅を含んでいて、物語設定が心に突き刺さるような滅びの要素と、入ったら抜けられない魅惑と没入感と中毒性を帯びて、遙か遠くに仄かな光が希望として感じられるような再生の要素が混在しているようなもの、です。
未成年にはオススメできない。女性にオススメするとセクハラと言われそうでオススメできない。そもそも、破壊力が強すぎて気楽に他人にオススメできないこの本。ただ、この世界観をどのように感じたかを、他人と共有したくなるのは、自分だけではないと思います。(様々な思いが交錯するイメージ)
私と言う人間を、私ではなく、周りの人間が作り上げていて、中には何もない。
上巻14ページ
私は彼女の生真面目さを「トレース」し、深刻そうに悩んでみる。「呼応」のあと、いつも自然と「トレース」が始まる。
上巻15ページ
いつも「正しく」あるように心がけている。
上巻51ページ
自分は人間に似た何かで、あたかも人間のように振舞っているだけなのではないかと。
上巻56ページ
本の存在が、にとってはシェルターなのかもしれない。
上巻61ページ
世界に無数のカメラがあったとしても、採用されるのはよりたくさんの人が映像を見ている大きなカメラだ。
上巻79ページ
ペルソナって普通に使い分けているのに、どれかが『本当』のふりしているのってなんか変!
上巻335ページ
たくさんの世界で生きている無数の自分をその世界の自分がぼーっと見てる感じ、すごくわかります!
上巻367ページ
「叱る」という、誰かをマイナスとみなす行動が家の中に存在することが、私はいつもあまり好きではないので、少しげんなりとした。
下巻9ページ
昔の時代の話だってことはわかるんだけれどね、『汚い感情』のシーンが多すぎて、ちょっと私に合わなかったかも。
下巻32ページ
不条理と思えた言葉、(略)、でも吐き出したくない。それを「言う側」の人間に成り下がりたくない。
下巻119ページ
自分の本質を証明するものが、自分の内側に結晶のように存在するのだと、どこかで考えていたけれど、空虚こそ本質なのだった。
下巻208ページ
言葉というより、その小説の行間に世界観がにじみ出ているのかも?しれません。こんな、100人いたら95人にはオススメできない、でも残り5人は(間違いなく)興味を示すであろうこの小説、取り扱いは自己責任でお願いします!

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